さ行

驚異的な自然の力とそれに負けない子どもの好奇心「あらしの島で」

yuminko

こむぎの運動会で、力を合わせてムカデ競争に取り組む姿に感動してしまったくるみです。こんにちは。

全体主義にうんざりすることもあるけれど、なんだかんだで心を動かされてしまうのはなぜなんでしょう…

くるみ
くるみ

今年ももう6月。台風の季節がやって来ました。

先日の台風6号襲来で、我が子たちの学校は休校になりました。同じ都内でも、住んでいる自治体によって対応は様々で、自然災害のリスクに対しての対策がいかに一筋縄ではいかないかを改めて感じます。

台風によって児童が脅かされるリスクの予測と、一日休校にすることで遅れるカリキュラムや給食のキャンセルなどの問題を天秤にかけて、それぞれの自治体は判断したことでしょう。

たくさんの経験や知識を使って、わたしたちは取るべき行動を判断します。

この行動をしたら、こんな利益がある。けれども、こんなリスクもある。

それぞれの起こる確率やリスクの大きさを加味して考え、利益とリスクを考慮した上で、利益が勝つと判断したとき、人は行動に出るわけです。

私は元来心配性で、失敗や痛みを恐れるあまり、情報を事前に調べ挙げて、リスクを避けることを優先しています。高確率で成功する見込みがないと、踏み出せないことが多いです。

一方で、経験も知識も少ない子どもは、それほど冷静に頭で考えはしません。

何より大きいのは好奇心。リスク予想より先に好奇心によって突き動かされ、進んでいきます。

そして、行動しなければ出会えなかったものを見て、聞いて、感じて、世界が広がります。ときには、失敗して、痛みを感じて、多くを学びます。

リスクばかりに目を向ける私は、10%の可能性に賭けられず、一歩も踏み出せずに同じところにとどまり、内なる好奇心は衰えていく一方。

だから、子どもたちの好奇心によって生まれる勇気のある学びに、憧れを抱きます。

そんな強い子ども好奇心が描かれている今日の絵本はこちら。

もう気が済んだ?それとも、まだ?

さあ、手をつないで、あらしのまえの海を見に行こう。島に暮らす兄妹が嵐が来る前の海に出かけます。岩に打ち付ける大波や吹き付ける潮風を全身で感じる子どもたち。嵐が始まる躍動感のある島の様子に、自然の力の大きさを肌で感じられる絵本です。

物語は大きな窓から外を見る2人の子どもの後ろ姿から始まります。

2人の見つめる先には…横方向に伸びた洗濯ロープのたわみ、風に飛ばされる洗濯物、急速に流れる低い雲、光と影の入り混じった不穏な空模様。もうすぐ嵐が来る島。

それを見て、2人は家を出発します。

さあ、手をつないで、あらしのまえの海を見に行こう

荒れ始めた海を抜け、岸を抜け、原っぱを抜け、町へ。手を引っ張り合って先へ先へと2人は歩いていきます。

ところどころ、見開きのページが横に3、4分割された、パノラマ写真を縦に並べたような構成のページがあり、子どもの低い視野や進んでいく道の長さを表しているようです。

また、時折出てくる「ドーン」「バシャーン」という手書きの文字が大きな音を想像させ、臨場感を高めています。

とうとう降り始めた雨やこれまでの道のりの長さ、人っ子一人歩いていない町の様子に、読んでいるこっちもドキドキしてきます。家に帰らなくても大丈夫?

もう気が済んだ?それとも、まだ?

そんな風に何度か繰り返される問いは、兄から妹へのものなのでしょうか?妹から兄へ?それとも2人の心の中の自分自身の問い?

2人は小学校高学年と低学年くらいに見えます。トトロのサツキとメイくらいでしょうか。でもこの世界にトトロはいません。自分の力で帰るしかありません。

そして、兄の顔のアップが描かれ、決断の時を迎えます。

はしれ!

兄はちゃんと知っていました。

林を抜ける近道を。引き返すべき時も。

彼は彼なりにしっかりと考え、見極め、幼い妹の手を握りしめ、この冒険に出たわけです。彼なりにリスク予測をしていたわけです。

子どもは大人が思っている以上に、すごい力を持っていることも多々あるものなんですよね。

この冒険で、彼らはたくさんのことを経験します。

岩にぶつかる波しぶきの激しさ、強い潮風の肌触りや音、水浸しの原っぱを歩く長靴の感触、嵐の時でも頼りになるひたむきな灯台の灯り、まるでお芝居していない舞台のような誰もいない町。

2人が自身の五感を使って感じとったものは、彼らだけのものです。

心細い気持ち、不安、やり遂げた自信。

これらの感情の経験も、かけがえのないものです。

駆け寄ってくる母親の描写や家に対する表現にぐっときます。

私も彼らの母親のように、距離をとって見守る存在でありたい!ありたいのだけれど…

おそらく嵐の前に子どもだけで出かけさせたりはできないだろうな…

と現実に戻り、ちょっと複雑な気持ちになってしまいましたが、少しでも子どもの力を信じることを意識して、日々を送りたいです。

波のしぶきや、雨がぶつかる窓の感じ、斜めに降る雨の細い軌跡、ぬれた道路に映り、滲んでいる赤信号などの絵が、とても印象的でした!

くるみ
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1男2女、3児の母 
こんにちは。子どもの読み聞かせをしているうちに、絵本の魅力にはまってしまった「くるみ」といいます。 絵本を読んで感じたことを育児や暮らしのこととともに1冊1記事に して綴っています。 「3つのたねに絵本の水を」(はてなブログ.2017~)のリライト記事や新しい記事を書く予定です。 毎週月曜・金曜更新目標です。どうぞよろしくお願いします! 家族構成 なっつん (夫) るうと(男・高2) こむぎ(女・中1) もずく(女・小3)
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