理想の働き方とは?「やまのかいしゃ」
「プゼレント」、「とうもころし」、「きみみどり」。たくさんの言い間違いをしてきたこむぎと、産まれてから1つも言い間違いをしないしろめしとの違いはいったい何なんだろうと思うくるみです。こんにちは。もずくはほどほどに言い間違えます。

(リライト記事・2018年前ブログより)
読み聞かせの本を選ぶ時、毎回子どもたちそれぞれが好きそうな本を探していました。
しろめしには科学の絵本や小学生向けの読み応えのある絵本。
こむぎにはカラフルで可愛い絵や美しい水彩画のような絵の、明るいストーリーの絵本。
もずくには赤ちゃん向けの絵本。
けれど、しろめしのための絵本をこむぎが気に入ったり、意味がわからないながらももずくが指差して笑ったり、意外な反応をすることも多くあり、読んでみないとわからないものだなあと感じています。
今日の絵本も思いの外反応が良くて驚いた絵本です。
珍しく大人が主人公で、子供たちの目にはどう映るかと思っていたのですが、意外にもしろめしもこむぎも楽しんでとても気に入っていました。
新鮮な空気を吸って働きたい
会社員のほげたさんがいつものように寝坊して、会社に出掛けたところ、電車は逆方向、靴もメガネもカバンも忘れ、山奥の駅に着いてしまいます。途方にくれたほげたさんは山の会社に行くことに……
毎日、通勤ラッシュに、灼熱のコンクリートもしくは冷たいビル風…そんな都会へ通うサラリーマンという現実からの逃避行。
トイレのスリッパを履いて家を出てしまっていたり、慌てておにぎりの具を間違えたり、とぼけたほげたさんが面白くて、おかしな展開を楽しむナンセンス絵本として、のんびり楽しんで読めます。
ところが、途中の「やまのかいしゃがぜんぜんもうからないので」という一文にハッとしました。
そこは目をつぶって、「山の会社っていいね!」ではないのか??
社長の対応も興味深いのです。
ほげたさんを辞めさせるでも、注意するでもなく、山の会社を任せるという社長。
儲からないというのに…
社長にとっては儲からないことが問題ではあるが、毎日満員電車に乗って通うことの方が問題だというほげたさんも社員として受け入れる、ということでしょうか。
それぞれ個人の趣向に合った働き方ができる、理想的な話ともいえそうです。
個人の喜びより効率化を優先している社会で、働き方を考えるきっかけにもなるかもしれません。
ただ、現実にはやはり、儲からないという問題はどのように解消されるのかが課題になってくるような…
主婦の私としては、ほげたさんの妻の気持ちになり、ほげたさんがもう戻っては来られない場所に行ってしまったような気がして心がザワザワしながら本を閉じました。
しろめしは「ほげたさん」「ほいさくん」という響きが気に入り、聞くたびにニヤニヤして嬉しそうでした。
こむぎは山の賑やかな絵に心奪われてじーっと見つめていました。
子供たちはただただ絵本のユーモアと愉快な絵を楽しんだようです。
絵本の世界に現実世界を持ち込んであれこれ考えるは野暮かもしれません。
でも、大人も子供もそれぞれ何かを感じて考えられるのも絵本の魅力ですね。
皆さんはどんな気持ちになるでしょうか。
良かったら読んでみて下さい。
今なら、ほげたさんも山の上でリモートワークするのかなぁ…
