あ行

学校に行きたくない気持ちを肯定する「このままじゃ学校にいけません」

yuminko

歯の治療中、あまりに何度も口の開け閉めを繰り返し、時間がかかっていたので、私の歯で仏像でも彫ってるのではないかと思ったくるみです。こんにちは。

くるみ
くるみ

(リライト記事・前ブログ2020年記事より)

しろめしは小学生の一時期、友達関係で頭を悩ませたこともあったけれど、今は楽しくやっているようです。

こむぎも小学校生活を経て、強い女子のグループと付かず離れずのうまい距離を置き方を学んで、中学校で何とかやれている模様です。

もずくは本人が強いので、小学校も中学年に突入した今、勝手になんとなく不安を感じています。

自分と同じ性別ゆえにわかる、女子社会の世知辛さ。

 みんなと仲良く。

 友だち100人できるかな。

 目指せ、一致団結!チームワーク!かけがえのない絆!

そんな価値観が自然と植え付けられていた私は、嫌われないようにうまく立ち回って、友達の多い子をうらやましく思っていました。

社会人になってから、適度にそれなりに合う人がいればいい、友だちはそんなにいなくても大丈夫、ということに気付き、とても気が楽になりました。

さらに数年前に「友だち幻想」という本を読んで、大いに共感し、子どもにも伝えたいと思いました。

「100%わかり合える人などはいない。どんなに親しくなっても他者である。」ということを意識した上で信頼関係を築きましょう。

分かり合えない人がいても、ぶつからず、自分も相手も否定せずに、適度に距離を置き、うまくやっていく力を付けましょう。

そのような内容で、以前の価値観からすると、合理的で冷たく聞こえるかもしれませんが、そう思って生きることは全然悪いことではなく、むしろ現代の世の中に適応している考え方だと納得できる理由がたくさん書いてありました。

他者とうまく付き合うのは、自分がより良く生きるためです。

他者の邪魔もせずに自分のやりたいことを実現できるように生きるために、

なにより大事なのは折り合いを付けること。

今日は、その折り合いをうまくつけられない、1人の少女の物語です。

動物に擬態してやり過ごすエディ

エディは学校に行きたくない気分。友だちとも話したくなく、授業も受けたくない。学校では1人でブランコに座って考え事したり、友だちにタックルして校長室へ連行されたり…。たくさんの動物に擬態してなんとか学校生活を1日やり切った少女の心の動きを感じることのできる絵本です。

嫌々家を出発する顔のないエディ。その顔は本当にのっぺらぼうのように描かれています。

学校に着いて、コウモリのようにじっとしていたいと願うエディはリアルなコウモリとして描かれています。

その描写が初めは少し恐くも感じますが、慣れてくるとそれほど恐くもありません。

「大人の塗り絵」を想わせる、線の多い絵はおしゃれな色遣いで、私は好きでした。

そんな絵の中でそこだけ漫画のように、絵文字の顔のような絵が人物の頭の上に書いてあり、気分を表してあり、独特で面白い表現方法です。

エディは自分を殺し、嫌な時間を動物になってやり過ごします。

エディのクラスメイトも耳や角が生えていて、エディには何か動物に見えているのでしょうか。

チーターになり、気に入らないクラスメイトに突進してしまったエディ。 

じーっと身動きせずにいれば校長先生は私に気付かないかも、とカメレオンになるエディ。

動物に擬態することで、居心地の悪い空間に存在することができるというのは、現実逃避でしょうか。解離と呼ばれる心理状態かもしれません。

大きな翼が生えて空高く飛べるといいのに、と一人きりで思うエディがとても可哀想になります。

そんなエディですが、周りからすると、授業を真面目に受けず、話も聞かず、反抗的で、友達に危害を加えた暴力的な問題児です。

その後、やっと家に帰ったエディはまだ動物のまま。

チョウやミミズになり、歯磨きもまともにできません。

そして。

寝る前に洗面台で鏡を見たとき、初めて、のっぺらぼうだったエディの目や鼻が見えます。

でも、うつっているのは エディでした。

あした 学校に いかなければならない エディでした。

どんなに動物の真似をして逃避しても、現実は変わらない。

生まれてから死ぬまで、自分という場所から逃れられない私たち。

そう思うとエディと一緒に泣きたくなります。

涙を流した エディにママが言います。

悲しいときに涙を流すのは人間だけだ、と。

エディはエディ。

それは受け止めなければならない。

受け止めることで涙は流れるかもしれない。

けれど、溜まった涙はざーっとこぼれ、その後はスッキリする。

私たちは動物とは違い、涙で流すことができる。

雨雲が雨を降らした後、ふわふわに戻り、お日様も出てくるように。

こむぎもずくは、最初は顔のない少女に怪訝な顔をしていましたが、動物たちが気になったようで、ぬいぐるみが出てきたページで、「あ!エディがなってたイカとかって、ぬいぐるみだったんだ!」と発見して喜んでいました。

そうなんです。イカ、アルマジロ、ナマケモノ…エディが擬態していた特徴的なチョイスの動物は、すべてエディのぬいぐるみだったのです。

それを見て、なんだか切ない気持ちになりました。

エディの思考は、他の人には一見理解することができないけれど、その子なりの理由やルーツがあること。

それを善悪や正誤というものさしを使わずに、話を聞いてあげることができたら…

現実逃避してもいい。でもチーターはだめ、と淡々とエディを送り出すママの愛にじんとします。

他の動物にならなってもいいけど、チーターはだめ、という線引きこそが折り合いをつける、ということなのかもしれません。

自分が自分であることに辛さを感じるすべての人の心に寄り添う絵本だと思います。

きれい好きという豚にでも擬態して部屋の掃除でもするかぁ。

くるみ
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くるみ
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1男2女、3児の母 
こんにちは。子どもの読み聞かせをしているうちに、絵本の魅力にはまってしまった「くるみ」といいます。 絵本を読んで感じたことを育児や暮らしのこととともに1冊1記事に して綴っています。 「3つのたねに絵本の水を」(はてなブログ.2017~)のリライト記事や新しい記事を書く予定です。 毎週月曜・金曜更新目標です。どうぞよろしくお願いします! 家族構成 にくだんご (夫) しろめし(男・高1) こむぎ(女・小6) もずく(女・小2)
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