深い海の底でいのちは廻る「クジラがしんだら」
耳かきが好きでついついやりすぎてしまうくるみです。こんにちは。あんまりやってはダメらしいですよね…

ここ10年くらい、なぜだか宇宙や深海など、謎多き世界に興味を惹かれるようになりました。
しろめしの深海生物図鑑を眺めて、その異様な姿にぎょっとしたり。
「宇宙人と出会う前に読む本」という本を読んで、宇宙人に会う可能性について思い巡らせてみたり。(宇宙について無知すぎたので、たくさん知ることができて面白かったです!)
どちらも酸素のない場所なので想像するだけでちょっと息苦しい気分にもなるのですが、怖いもの見たさというか、未知の世界ゆえの魅力があり、ついつい吸い寄せられてしまいます。
とてつもない水圧に押しつぶされる深海と、気圧を感じることができない真空の宇宙。
そんな人間にとっては過酷で非日常な世界ですが、宇宙人は存在するかまだわからないけれど、深海にはどうやら生物がいるらしい…。
超絶な水圧と、暗闇と、少ない酸素の中で。
今日はそんな深海の様子を覗ける絵本を紹介します。
クジラのいのちが繋ぐたくさんのいのち
ある日、年老いたクジラがすうっと海に沈んでいきました。真っ暗な海の底で、クジラの大きな体に次々とさまざまな生物が集まってきます。クジラが骨になり、さらに分解されるまで、深海での食物連鎖を知ることができる絵本です。
サバンナでライオンがシマウマを狩り、残りをハイエナが狙い、ハゲタカが集まってくる、という映像を子どもの頃に見ました。
それを覚えているので、野生では、1つの命を複数の動物が代わる代わるやってきて食べつくす、というイメージはありました。
この絵本の舞台は深海。
深海でも1つの命にたくさんの生物が集まってくるのは同じです。
ただ、その始まりが肉食動物の狩りではなく、クジラが寿命で力尽きる、という自然淘汰なのです。
マリンスノーが舞う中、落ちてくる大きな大きなクジラ。
ある日突然、誰も倒せないほどの大きな体が降ってくる。
それがなんともドラマティックです。
クジラほどの大きな体となると、普段マリンスノーなどを食べて暮らしている生物にとっては2000年分ほどのごちそうだとか。(クジラに集まってくる生態系を鯨骨生物群集というらしく、そんな名前が付いちゃうくらいすごく大きな有機体なわけです。)
巻末にマリンスノーは何なのかなど簡単なQ&Aが載っているのもとても面白く読めました。(全然難しくなくてわかりやすい説明です)
おそらく、地上でも骨が土に還るまでに微生物がいるのだろうけど。
深海となると、さらに神秘的というか、謎というか。
骨のコラーゲンまでは栄養としてわかるけど、骨が腐っていく段階で出る猛毒の硫化水素を栄養にする細菌、さらにその細菌と共生する生き物までいるのは驚異的。
今この瞬間にも、海の底で静かに廻っているいのちの循環にいのち豊かな地球の営みを感じ、心を動かされます。
実際は見た目が気味の悪い生物も、まあまあ可愛く描かれているので読みやすいです。
映像で見るときっとすごくグロテスクな気がする…絵本ってありがたい。
